82の施策でエンゲージメントスコアを30ポイント劇的改善した540日

82の施策でエンゲージメントスコアを30ポイント劇的改善した540日

 

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「活用事例シリーズ」。今回お話を伺ったのは、株式会社ホワイトプラスの角田岳大さんです。ネット宅配クリーニングサービス「リネット」のカスタマーサポートグループのマネージャーを務める角田さんは、チームをより良くし攻めのカスタマサポートチームを作るため、なんと82個もの施策を実行。その結果、wevoxのエンゲージメントスコアが、18カ月で30ポイント(!)以上の向上と劇的な改善を達成しました。1年半にわたるチーム改善はどのようなステップで行われたのか、低スコアに悩むマネージャー必見の体験談をどうぞ!

小さな施策をチームで積み重ねた結果、エンゲージメントが向上

―角田さんのチームはエンゲージメントスコアが低い状況から、1年半をかけてかなり改善されていきました。聞くところによると、82個にものぼる施策を実行したと聞いていますが…本当ですか?

はい。細かな施策も含めてですが、後から数えてみたら82個の改善アクションを実行していました。

―す、すごい数ですね…。

自分でも気付いたときは、びっくりしました(笑)。とにかく、がむしゃらに駆け抜けた1年半でした。

―ぜひ、その道のりをお聞きしたいです。まずは、組織改善に至るまでの背景を教えていただけますか?

私は2017年4月に中途入社でホワイトプラスに入社し、ネット宅配クリーニングサービス「リネット」のカスタマーサポートグループのスーパーバイザーを担当することになりました。このグループでは、ユーザーからの「利用方法」「配送上のトラブル」「仕上がりに関する質問」などの問い合わせへの対応を行っています。ユーザーが何度も使いたくなるサービスとなるために、非常に重要な役割を担う部署です。

その後、2017年12月に同グループのマネージャーに就任し、チームづくりにも着手するようになりました。しかし、その当時我々のグループのエンゲージメントスコアは55という低い数値となっており良いとは言えない状況でした。

―具体的に、どのような状態に陥っていたのでしょうか?

根本的な問題としてあったのが、リソースの調整問題です。年度ごとで決められた予算ありきで採用を行っていた関係で、繁忙期でも閑散期でも一定の人数を抱えることになっていました。繁忙期と閑散期では、問い合わせの件数が桁違いに差があるのですが、忙しいタイミングに合わせた人員調整が難しく、対応の遅れが度々発生していたのです。

その結果、ユーザーのニーズを満たすKPIも未達が続き、メンバーは忙しいうえに達成感を得られにくい状況に。こうした状況では、仕事に対するやりがいも持てず、職場への不満が募って当然です。その結果が、エンゲージメントスコアに反映されていたのではないかと思います。

 

目標を達成進捗が実感しやすいように、段階的に再設定

―そこで、角田さんがなんとかしなければ、と施策を実行していくことになるんですね。具体的にどのような改革を行っていったのでしょうか?

まずは、この図を見てください。

これは、つい最近振り返りをしたときに作成した図です。結果的に、この図の考えに沿った形でチームづくりを実践していました。一つひとつ説明していきますね。

―お願いします!

最初に手を付けたのが「①リソースと目標の再設計」。これは、根本的な課題だった人員調整にメスを入れる施策です。予算は目安として、繁忙期には多少オーバーしても採用を行ってもよい、と会社側と協議をして変更しました。この結果、繁忙期に合わせて短期のパートを採用するなどフレキシブルな調整が可能になりました。

―「目標の再設定」については?

KPIについては、受電率、再利用意向率などユーザーの満足度を示す数値をいくつか設定しています。しかし以前は、どの数値をいつまでに達成すべきなのか、現在の進捗状況はどのレベルなのか、メンバーが正確に認識することができずにいました。メンバーからすれば、ストレッチな目標がずっと掲げられているだけで、どれだけ近づけているのかを実感できない状態であり、達成できるイメージも持てなかったのです。そこで、現実的に達成できる目標を毎月設定し、達成感を得ながら長期的な視点で着実に高い品質を実現できるような目標にアップデートしました。

―漠然と大きな数値を掲げていたものを、毎月着実に成長していける目標に落としこんだんですね。

はい。ですので、KPIを低く設定し直す、ということはしていません。あくまで、プロセスを実感しやすいようにした、という変更です。むしろ1年後の目標値は変更前の目標値より高く設定しました。

 

メンバーにまかせる「権限委譲」で対応スピード向上

―リソース調整と目標設定という、チームにとってクリティカルな課題から着手していったのですね。「②土台となる生産性の確保」について教えてください。

以前から生産性の管理は行っていて、メンバーごとにメールや電話を何件対応したのかなどは全てデータ化していました。しかし、ただデータを取っているだけで、1人あたりの問い合わせ件数がキャパシティをオーバーしていても、根本的な対応ができていませんでした。結果的に、1つの対応遅れが新たな対応遅れを呼んでしまう悪循環が多々あり、生産性を上げていく必要があったのです。

そこで、一人ひとりの顧客対応スピードを上げるために「権限委譲」を行いました。以前は、アルバイトやパートスタッフが対応に困る場合、都度社員に相談していました。この流れがボトルネックになっていたので、例えば「クーポンが発行できる量」の基準を設けるなど、その範囲内であれば自己判断で対応してもよいとしたのです。

―聞きに行く頻度が減れば、当然対応のスピードは上がります。

自己判断で対応できるので、メンバーのストレスも減り、ユーザーとのやりとりもスムーズになったのではないかと思っています。それから、研修用の資料を再度見直し、基礎知識の部分を体系化しました。これによって、それまで3週間かかっていた新人研修を2週間で終えるようになりました。

―3分の2も短縮されたんですか!繁忙期に人員を増やすときは、研修期間が短い方が効率的ですもんね。

他には、受付体制を変えて、お昼の時間は顧客対応を休憩するようにしました。お昼時に一気に人が抜けて、残った少人数で対応をすることで、電話に出ることができずにお客様の不満が増えたり、生産性の低下が起きていたことから、一律で休み時間を設定したのです。一つひとつは小さなことですが、チームの仲間とこれらを積み重ねていき、生産性の向上に努めました。

 

ユーザーの声を一番聞いている現場スタッフをもっと頼る

―本当に、地道なアクションを積み重ねていることがよくわかります…!「③心理的安全性の向上」について教えてください。

こちらについては、「情報共有」「信頼」「不安解消」という3つのポイントで施策を実行していきました。

まずは「情報共有」。アルバイト、パートスタッフ含め、可能な限り情報を公開するようにしました。例えば、私が出席している会議の内容を、リアルタイムで全メンバーが閲覧できるチャットに共有するのもその1つです。来月の事業戦略の内容、それによってカスタマーサポートにどのようなミッションが発生するか、といった話を共有するのです。もちろん、守秘が必要な情報もありますが、できる限り情報はオープンにしました。前もって知っておくことで、多少難易度の高いミッションが発生しそうでも心構えが違ってきますからね。

―アルバイト、パートスタッフ含めて共有する、というのがすごいですね。

カスタマーサポートのほとんどは、アルバイトやパートスタッフのおかげで成り立っていますし、最もユーザーと近い距離で対応するのは彼・彼女たちですから。2つ目のポイント「信頼」も、最前線で対応するアルバイトやパートスタッフたちをもっと頼ろう、という考えからきています。

これまでは、何か課題が発生したときは、マネージャーやスーパーバイザーなどが中心となって解決案を考えていました。この発想を変え、アルバイトやパートスタッフに積極的に相談するようにしたのです。現場スタッフの方が、肌感覚的にどういった対応をユーザーが求めているのか知っています。新しいサービスを立ち上げるときなども、現場のスタッフに予め懸念事項などを聞いて、フィードバックをもらうようにしています。

最後の「不安解消」というポイントでは、これまでよりも、社員とアルバイト、パートスタッフのコミュニケーションを密に取るようにしました。何か不安なことがあれば、すぐにスーパーバイザーや私に報告をしてもらうようにしたのです。相談をしやすい雰囲気をつくれるように、社員に対しては「話を聞くときは作業を止めて、必ずスタッフの方を向き、真摯に対応してください」とお願いしました。結果的に、前よりもコミュニケーション量が増え、不安が小さい段階で解消できるようになりました。これは、離職率の低下にもつながっていると思います。

 

さらなるチーム強化を狙う3つのアクション

―「情報共有」「信頼」「不安解消」、この3つのポイントで心理的安全性の確保に努めていったということですね。これまでのアクションで、図の①、②、③にあたるベースの部分が固まってきたことになります。その上にある、3つの円はなんでしょうか?

④にあたる部分ですね。これは③までの土台にさらにプラスαとして実行するとよい、施策群になります。

「マインド醸成」というのは「自分ごと」としてKPIやバリューに向き合ってもらうようなアクションを言います。具体的には、ビジョンを書いた紙を部屋に掲出したり、KPIの進捗を映し出す専用のモニターを部屋に設置したり、といったアクションを実行しました。視覚化し、常に意識することで、より強くコミットしてもらうことを狙ったのです。

「品質向上」は、より個々の対応品質を高める取り組みです。1on1を取り入れ、日頃の業務のフィードバックを行い、スキルアップをする仕組みをつくりました。社員は週1回、アルバイト、パートスタッフは月1回のペースで、業務に対するフィードバックを通してコーチングを行っています。

「役割分担」は社員同士の役割を明確にしたことです。グループ内にはスーパーバイザーやサブスーパーバイザーなどの役割があるのですが、何ができればサブから昇格できるのか、といった基準が曖昧でした。そこで明確な判断基準を設けて、半年に1回、アルバイト、パートスタッフも含めて評価するようにしました。

…以上、私がマネージャーに就任してから1年半をかけて行っていった施策になります。熱が入ってたくさんお話してしまいました(笑)。

―いえ! この1年半をかけて、角田さんが相当な熱意でチームを改善していったことがよくわかりました。

最初にも言いましたが、この図は言わば“あと付け”で作られたもので、戦略的に実行していったわけではありません。とにかく必死に、グループの皆と手分けして、そのときそのときの最適解を考え、思いついたらすぐに試すということを繰り返した結果です。82の施策のうちには、うまくいかずにすぐにやめたものもありますよ。

―改善アクションを重ねた結果、スコアは最低時の55から1年半後には30ポイントほど上昇しました。努力が報われましたね…。

そうですね(笑)。スコアだけでなく、KPIも13カ月連続で達成しています。

定性的な面で言えば、積極的に改善案を提案してくれる人が増えました。また、案に対して「私がやりますよ」と進んで言ってくれる人も増えた。社員も現場の運用でいっぱいいっぱいだったのが、今では他部署とも連携を取って新たなアイデアを提案するなど、積極的な姿勢を見せています。1年半前と比べると、雰囲気も全然違いますね。メンバー全員の行動や視点が変わりました。

マネジメントの課題も、みんなで解決すればいい

―すばらしいですね。1年半かけて、施策を実行するうえで、角田さんが気を付けていたことはありますか?

「まずはまかせてみる」というスタンスは常に取るようにしていました。何かあれば責任は持つから、思うようにやってみて、という声かけは社員やアルバイト、パートスタッフ関わらず常にしていましたね。

それから「ネガティブなことは言わない」ということも意識していました。アルバイトやパートスタッフは社員、特に役職が上の人が言うことに非常に敏感です。ネガティブな言葉はあっという間に広まって、チームの雰囲気を著しく悪くします。ですから、ネガティブな言葉遣いにはならないように、できるだけポジティブな表現で話すように注意を払っていました。

あとは、先程も言いましたが「スタッフと話すときはPCの画面を見たままではなく、その人と向き合う」ことですね。

このように、「いかに人の心を動かすか」ということには特に力を入れて取り組んでいました。

―そうした、マネージャーとしての一つひとつの振る舞いがチーム全体のエンゲージメントにも影響していきますよね。角田さんは迷うこととか、落ち込むことはなかったですか?

当然、ありますよ。そういうときは、同じチームのメンバーや他部署のマネージャーなどに相談をしていました。優しいマネージャーほど自分1人でがんばって周りに迷惑をかけないようにしてしまいますが、1人で抱え込まなくてもいいんです。どんどん、周りに相談すればいいと思います。

それに役職が違うからといって、有用な意見が聞けないなんてこともありません。社員、スタッフたちはそれぞれの業務経験のなかで、様々な視点を持っています。そうした視点や知恵を受け入れながら、マネジメントについてもみんなで解決していけばいいのだと思いますよ。

―なるほど…。マネジメントって1人で考えるものというイメージがありますけど、周りに聞きながらやり方を探っていけばいいんですよね。

1人だったら、82も施策を実行できていません(笑)。これも全て、チームだからできたことだと思います。

―素晴らしいです…! 最後に、今後の角田さんの展望についてお聞かせください。

今回の経験を活かして、他部署で困っているチームがいたら協力したいと思っています。少しでも、この1年半の経験を活かしていきたいですね。カスタマーサポートの領域でなくても、“人”に関するチームづくりの知見は役立ちますから。これからもチームづくりを通して、組織に貢献していきたいと考えています。

 

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