「DIYな組織文化」を醸成するために、ツールをどう運用するか?

「DIYな組織文化」を醸成するために、ツールをどう運用するか?

 

wevoxで組織改善に取り組んでいる企業様の導入秘話に迫る「導入事例」シリーズ。
今回は、「場の発明を通じて、欲しい未来をつくる」をミッションに、実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する株式会社ツクルバのケースを紹介します。wevoxを導入した背景や、導入後の社内の変化、目指す組織のあり方などを、代表取締役でCCOの中村真広氏と、採用リーダーの小林杏子さんにうかがいました。

文化形成のために「自分たちで分析できるツール」が必要だった

−まず、どういう課題感から「wevox」の検討につながったのでしょうか?

(小林)今期のスタートに向けて、2025年時点でのありたい姿を「2025VISION」という形で描く取り組みを実施しました。CCO中村のリードのもと、未来に向けてどんな状態を作っていきたいのかを各チームのリーダーを中心に話し合いながら、一方で評価制度や目標管理制度、報酬制度などの人事施策の骨子を固め、充実させてきたのが、直近1年くらいの社内の動きです。

あらためて、どんな組織を作っていきたいのか、ビジョンと実際の現場の状況を照らし合わせてみたときに、「DIYな組織文化」を確立していくということが、組織開発における1つのテーマであると感じました。

(中村)ここ2、3年で、倍々ゲームで社員が増えていて、組織もどんどん大きくなってきているんです。そんなタイミングだからこそ、1人1人が組織づくりに能動的に関われる仕組みや、マインドの醸成が重要だと思っています。

(小林)元々、ツクルバは強い組織文化を持っていたと思うんですね。自分たちの環境は自分たちで作ろうとか、みんなが勝手に新しく始めたことがムーブメントになって結果的にツクルバらしさの輪郭を作っていく、そういったあり方でずっときているんです。

でも、事業や組織が大きくなる中で縦の構造が強くなり、自分のチームや仕事のことでどうしてもどうしても手一杯になりますから、放っておけば、ツクルバの全体や組織づくりと言ったテーマで能動的に思考したりアクションしたりする機会はどんどん減っていきます。

だからこそ、草創期から持っていた「自分たちのチームは自分たちで強くしていく」ということを、今やそれ以上の規模感であっても、当たり前にできるカルチャーにしていきたいよね、と。それが根底にあった大きな課題感ですね。

(中村)そのような課題に対して、自分たちのチームを自分たちで健康診断し、より良いチームづくりに向けてアクションするためのきっかけとなるようなツールが欲しいなというのが、「wevox」を具体的に検討し始めたきっかけですね。

 

−検討の際にどういう基準でサーベイツールを比較していたのでしょうか?

(小林)「DIY精神を刺激するツールであること」が一番こだわりたい部分でした。だから、ちゃんとメンバーが自分たちで分析でき、結果をもとに考えてアクションにつなげられるか、それをできるきっかけを与えてくれるツールかどうか、そういったことが何より大事だったんです。項目の細かさや正確性などより、メンバーが能動的に活用できるかどうかを重視しました。

そのためには、気軽に負荷なく実施でき、タイムリーにフィードバックがあること、結果がシンプルで分析しやすいことが条件でしたね。その上で複数のツールを検討しましたが、その中から「wevox」を選んで導入したのは、「wevox」の思想が、ツクルバの組織開発の思想に一番マッチすると感じたからです。

 

−というのは、どういうことでしょう?

(小林)「wevox」は「みんなでどう使っていくか」に重きが置かれていると感じました。私たちはレイヤーに関係なく自分たちのチームをよくしていこうという考え方。他のツールは、どちらかというと「使うのはマネジメント層、答えるのはメンバー」という感じで、「縦の管理」に対するサポートツールという印象。先ほど説明した通り、「DIYな組織文化の確立」を目指す前提でしたので、そうなると「wevox」が一番弊社のニーズに合致するなと。

(中村)導入して1カ月くらいのタイミングで、アトラエさんのプロダクトマネージャーの方とディスカッションする機会があったんですよね。

(小林)導入後にメンバーから挙がってきた要望をお伝えさせてもらったのですが、その際「プロダクトを通じて何を成し遂げていきたいか」といったお話を改めて詳しくお伺いして、ツクルバの持っている組織作りに対する考え方にシンクロする部分がたくさんあると感じました。

しかもそれは人事としてだけでなく、その場に居合わせたエンジニアのマネージャーなんかも同じ気持ちだったようです。「このプロダクトはまだ完璧じゃない、今後サービスを強化するためにこういうこともやっていきたい」みたいな話もしてくださったじゃないですか。

 

−そうでしたね。

(小林)そういうところへの共感というか、率直に「こんな想いを持っている人たちが作っているサービスならいいな」と思えました。

 

−ありがたいお話しです。ありがとうございました。

(小林)ちょっと感覚的な話かもしれませんが、すごく大事なことなんじゃないかなと思っています。

 

 

組織づくりをテーマにした意見交換を通じてメンバーたちが変化していく

−どういうフローで導入を進めていったのですか?

(中村)まずは、社内のクリエイティブを担う「tsukuruba studios」というチームから導入しました。Web/Appエンジニア、グラフィック・UIデザイナー、建築、インテリアデザイナーといった職種の所属するチームで、全体で30名程度の組織です。

(小林)元々は職種ごとに分かれていたチームを、半年程前に、「tsukuruba studios」という1つのチームに統合したという経緯があり、設立したばかりのチームでタイミングがよかったことと、職種柄もあってか、より良いチームのあり方について考えているメンバーが多いと感じていたのでここから導入しました。

3カ月ほど運用を回してみて、現場の満足度が高かったので、段階的に導入範囲を拡大しています。週に一回サーベイをとり、月末に一回、既存の会議体の中でみんなで閲覧してコメントし合っています。次の1カ月で何をどう改善していくかを決めて、それを実践していくというのが共通のフロー。その具体的な運用方法についてはチームに任せています。

(中村)同じやり方で導入しているのに、チームごとに進め方が全然違うのが面白いですよね。

(小林)そうなんです。独自進化しながら、チームに最適化し始めているんですよ(笑)。そういう意味では、「自分たちで」という当初の狙い通りの流れができているようには感じていますね。

(中村)僕が面白いと感じたのは、それぞれのチームが競い始めたこと。本質的には、競争するためのものではないと思いますが、他のチームの数字や動きを見て、「自分たちは点数が低いみたいだから合宿してチームビルディングしよう」みたいな動きが起こっているようです。で、そこに小林も参加して、人事としてディスカッションを焚きつけたりして。

(小林)変化の幅が大きいチームって、普段の仕事でチームと向き合う機会が明らかに少ないところなんです。例えばエンジニアとかデザイナーは構造的にチームで仕事を進めることが多いため、日々の仕事の中で嫌でも組織と向き合うわけです。しかし、当社の場合だと建築・空間設計のチームがそうなのですが、一人でプロジェクトを持って進めることが多いような仕事だと、チームをどうしていくかといったテーマで考えたり、会話する機会がどうしても少ない。

でも、彼らが組織の健康状態に向き合わざるを得なくなった時に、「実はこういう風に思ってたんだよね」という話がお互いでき始めると、そこからの変化がわかりやすいというか。

(中村)それこそ、社内で噂が広がるくらい(笑)

(小林)複数のメンバーから「最近あのチームが調子いいみたいだけど、何をしたの!?」と聞かれたりしました(笑)他のチームの人が気付くくらいの変化が起きているようなので、導入してよかったなぁと思います。

 

−他のチームに影響を及ぼすような広がりを見せているんですね。

(小林)ただ、「wevox」はサーベイの実施自体が目的ではないので、そういう空気の中でいかに丁寧に導入を進めていくかは、今後の課題かもしれません。チームごとに規模や抱えている問題は異なりますから、今まさに、そこを「うーむ」と悩んでいるところなんですよ(笑)

(中村)「wevox」を入れたからどうこうという話だけではなく、ダイエットする人がまずは体重計を買うみたいに、可視化することがすごく大事なんですよね。そのおかげで、意識が組織の方に向き始めているというのが、この3カ月間で一番面白いなと感じているところです。

 

 

いい風が吹き始め、マネージャーたちの意識が少しずつ変わり始めてきた

−最初に数値を見た時、率直にどんな感想を持ちましたか?

(小林)実を言うと、そんなに意外性はなかったです。とはいえ、ベンチャーだからこそ高くあって欲しかった項目、具体的には「自己成長」とか「理念」といったところが、平均よりは高いものの、二重丸といえるほどのスコアじゃなかったことには、ちょっとショックを受けました。

(中村)そこは間違いなく高いだろうと思っていただけに。

(小林)それで振り返ってみると、「成長機会」みたいな部分は、正直、人事としてもデザインしきれていなかったのかなと思いました。ベンチャーだし、成長の圧力も当然あるわけですから、勝手に成長してくれてくれるだろう、という希望的観測があったんだと思います。

一人一人に対して成長の機会を戦略的に提供できていなかったんだと痛感したことで、各チームのマネージャーとも話し合いながら打ち手を考え始めたところです。まだまだ、手を打てることがたくさんあると気づかされた感じです。

(中村)そこに通じる話として、僕自身がマネージャーたちと1on1をやっている中で、「若手のメンバーに何か別の刺激を与えたい」みたいな話が上がったりすることが増えたように感じています。だったらということで、若手の「作りたい欲」を発散させるような場を作ってみたり、新しい取り組みがが色々な場所で始まっています。

(小林)まだ導入して3カ月ですが、複合的にいろんなことが混ざり合って、いい風が吹き始めているという感じですかね。

(中村)マネージャーたちも、最初はチームをどう運営するかみたいなところで悩むわけですが、いざやり始めると「自分ごと感」が出始めるのでしょう。そうなってくると面白い。だって「最近、運営会議が面白いんですよね」なんて声が出始めているんです。びっくりというか、「もう俺いらないかな」って思っています(笑)

 

 

 

「コミュニティ経営」を通じて強い組織を作るための方法とは

−中村さんが理想とする組織とは、どのようなものなのでしょうか?

(中村)最近よく考えているのは、いわゆる「事業体としての会社」だけでなく、「コミュニティとしての会社」という側面も含めて経営を考えていこう、ということです。

 

−もう少し説明してもらってもよいですか?

(中村)雇用する・される、上司・部下のような関係性とともに、ツクルバというムーブメントを仕掛ける仲間のような関係性も成り立っている企業体というイメージですね。後者のような感覚が今後は広がっていくのではないかと考えています。

そうなってくると、企業文化や企業理念のような頭に「企業」がつくようなものがちょっとしっくりこなくなる。企業というより、社内外を横断したムーブメントですからね。その時に、果たして「ムーブメントの旗印」は何なのか、なんでここに集っているのか、そういったことが非常に重要になってくると思うんです。

 

−なるほど。

(中村)これって、先ほどお話ししたような「自分ごと感」と関係があると思っています。企業という境界線が「実線」から「点線」になって、つながりが緩やかになれば、活動体に共感する人が集まってくるかたちで組織が成り立つわけですよね。

ですから、その時にはムーブメントに参加している感覚、言い換えるとコミュニティ意識とも言える「自分ごと感」がすごく重要になります。今はまさに、その価値観が移り変わる過渡期なんじゃないかという気がしています。

 

−ムーブメントの旗印を掲げることと共に、一人一人のコミュニティ意識、「自分ごと感」が組織にとって不可欠なものになるというですね。

(中村)そうですね、「自分がここにいる理由」をいかに持てるかが、組織として強くなるための大切な要素だと思っています。

当社の名刺の裏側には、それぞれが自由に自分のありたい姿=「beの肩書き」を入れられるようになっているんです。僕は「活動家」と入れているのですが、これは「自分のあり方」をまわりにも宣言していこうよという目的でやっていることなんですね。自分のあり方を解放していい場所として会社があるというのが、僕はすごく素敵だと思っています。

 

−そんな組織なら、作っていて楽しそうですね。

(中村)これは、ツクルバが誕生したストーリーとも関係があるんですよ。ツクルバはコワーキングスペースco-baを立ち上げながら創業し、その場を運営しながら企業体が大きくなっていったという経緯があるので、そもそも社内外の境目なんて最初からなかったんです。

隣にいるのは同じコミュニティの仲間でありながら社外の人でもあり、そういう人とディスカッションしながら事業を進めていくのが当たり前だった。それが今、組織も大きくなってきて、本社もちゃんとオフィスを構えて、企業の境界線が「点線」だったのが「実線」になりつつあるところで、「やっぱりツクルバの原点って点線だったよね」と戻っていこうとしている、そんな感じだと思います。

(小林)こうしたコミュニティ経営の話については、中村が社内で話すだけでなく掲示したりもしていますし、ダイアログするためのディスカッションの場を設けたりして、積極的に伝えるようにしているんです。

(中村)当社のメンバーはほとんどが中途採用なので、前の会社の文化を良くも悪くも引きずって入社してくる。世の中の大半の会社においては、実線だ点線だなんて発想もなければ、境界が半開きな感覚って体感としてもわからないんですよね。

だから最近はオープンオフィス的にイベントをやったりもして、できるだけノイズを巻き起こそうとしています。その時に、社内の活性化はもちろんですが、社外にファンを作っていくようなことも意識しています。例えるならば、社内と社外の間に行き来がしやすい「半開きな関所」を作るという感じかもしれません。そういう組織のデザインをしていきたいと思っていますね。

 

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