テレワーク中心の組織はwevoxを活用し、どのように信頼構築していったか?

テレワーク中心の組織はwevoxを活用し、どのように信頼構築していったか?

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「活用事例シリーズ」。今回は、「働き方の転換」をテーマに企業の働き方をコンサルティングしている、いわば「働き方改革のプロ」であるパーソルプロセス&テクノロジー株式会社ワークスイッチコンサルティング事業部にお話を伺いました。組織でテレワーク中心の働き方を取り入れているため、いかに組織としての一体感を出すかに苦労されていると語るお2人に、具体的な施策の内容やリアルな現場の声について伺いました。

 

INTERVIEWEE

ワークスタイル・コンサルタント/健康経営アドバイザー
久保慶子氏 

ワークスタイル・アソシエイト
齋藤泰輝氏

組織の課題解決は、現場主体でスピーディーに行うべき

ー2人の所属する組織の特徴について教えてください。

久保:私たちが所属している組織は、パーソルグループの中で「働き方の転換」をテーマにお客様をコンサルティング支援させていただいているチームです。そのために自らテレワークや副業、パラレルワーク、週3勤務といった「新しい働き方」にどんどんチャレンジして、そこで蓄積したノウハウをお客様に提供することを目指しています。

斉藤:それでいて、20名ほどいるチームのメンバーのうちの半数以上が、昨年4月入社の新卒です。

久保:私は長い間テレワークベースで働く部署にいたので、テレワークを進めるうえで配慮する点や、テレワークにおけるチームワークについて分かっているつもりです。しかし、急に4月から新人や違う部署からの異動者が増え、テレワーク前提の働き方をしてこなかった人が組織の中に多くなりました。テレワークだとどうしてもコミュニケーションは少なくなってしまいますから、関係性がうまくいかず、信頼構築に関わる部分で課題を感じることがあったんです。

斉藤:同じチームのメンバーなのに、ほぼコミュニケーションを取らない人もいたりしましたよね。とにかくチームとしての一体感が見えにくかったです。

久保:今までのやり方ではなかなかうまくいかなくなってきた時に、何か打ち手を考えるためにも、社員の状態を可視化する必要があるんじゃないかと考え始めたのが、wevoxを検討した一番最初ですね。

ー仕事の進め方として、「横のつながり」はあまり強くはないのですか?

久保:基本的にそれぞれが「個」の力を求められることが多いです。ただ、お客様から出てくる課題にはいろんな種類があるので、一人だけでは全てをカバーしきれません。だからチームでのノウハウを活用していかないとうまくいかない状況はありますね。

斉藤:テレワークの本質は、組織全体として生産性を向上させるために場所を選んで仕事をしていくということです。それが前提のうえで必要であれば対面で会うし、作業に集中したいなら自分でコントロールして、別にオフィスから離れていてもいいという働き方じゃないですか。ただ、どうしてもコミュニケーションは取りづらくなります。そんな時に、例えばチャットでどういう状況を流し合えばいいのかとか、離れていてもどういう価値観を共有すれば組織として一体感を持てるのかといったことを、仕組みとして考えていけたらいいなと思ったんです。

ー そこでなぜwevoxを選んでいただいたのでしょうか?

久保:組織の課題を可視化して解決するという取り組み自体が、現場主体でかつスピーディーにできてなんぼだと思っています。そして、wevoxはそれが一番しやすいツールだと感じました。

ツール自体の見やすさもありましたね。現場の人に使ってもらうにあたって、みんなの負担にならなさそうだと思いました。

あとは、我々自身がお客様に対して働き方改革を推進する上でいろんなサービスやツールを提案する立場なので、その視点で考えた時に非常に説明しやすい、提案しやすいものだと思ったのは大きかったですね。

計測しやすい目標をいかに立てるかが、モチベーションのカギに

ー現在の運用状況は?

久保:昨年9月にテスト導入を開始しました。実は10月から私が別のチームに異動となり、新たにそのチームでも導入を進めたので、現在は2つのチームで運用しています。私がwevox導入や社内拡大の最初のアクションを考え、全体推進を担当。現場リーダーとして細かいところを回すのが斉藤さん、という体制になっています。

ー実際に使ってみて、皆さんの反応などはどうでしたか?

斉藤:スコアを見ていくうえでは、9項目に分かれていたりして理解しやすかったですね。最初の結果が出た時に思ったのは、「いいところ」や「改善部分」が想定した通りスコアに反映されたなあ、ということです。

ー想定どおりというのは、具体的にはどういうことだったのでしょうか。

斉藤:どうしても個々人が主体で働いている組織なので、担当企業には自分一人で行くことがほとんどです。そこからくる「裁量の大きさ」というのは思った以上に高かったです。一方で、そういう働き方は、特に新人だとどうしてもハードな部分が出てきがちなので、「健康面」を心配していたら、その通りスコアが低かったんです。

久保:それらも含め、みんながうっすらと「こうじゃないか」と感じていたことが可視化できたことが大きかったですね。「なんかうまくいってない」「雰囲気が良くない」みたいなぼんやりした状態で施策を打つのって、ものすごく難しいじゃないですか。でも数値化され、どの分類が低くて何に緊急性があるのかが見出せると、具体的なアクションにつながりやすかったというのはありましたね。

ー危機感をより具体的に共有できたという感じでしょうか。

久保:そうですね。初回のワークショップでのマネージャーの反応が、「やっぱりか」という表情でした。同時に、何かしなければという危機感を煽ることにもつながったように感じました。

だから、wevoxを活用してよかったのは、もちろん人によって温度差はあるものの、危機感を持ったマネージャーに関しては、マネージャー主体で施策を打ったり、チーム単位で改善に向けて自走できるようになってきたことです。

ーワークショップはどういう流れでどのようなことを実施しているのですか?

久保:最初はアトラエさんに提供してもらったKPTのツールを使いつつ、オリジナルの要素を入れていきました。これまで「振り返りの場」をあまり持っていないチームだったので、チーム全体でそれぞれの月ごとのアクションなんかを振り返りつつ、KPTのワークを一緒に行って、なおかつそこにwevoxの振り返りも一緒に行うという感じで始めたのが最初です。

ワークショップの様子

斉藤:集まってスコアを共有したり、組織や課題について話したり、できたことが、何より良かったと思いましたね。一方で難しいなと感じたのは、チームごとのネクストアクションの立て方です。次回のワークショップに向けてチームでの目標を立ててもらうのですが、それを翌月に振り返った時に、達成率が低かったんです。

久保:要は、設定する目標の粒度がグループごとでバラバラだったんです。コミュニケーションロスが課題だったことから、「コミュニケーションを活性化する」といった目標を立てるチームが多かったのですが、そもそもコミュニケーションって何を指していっているの? というところまで落とし込めていなかったんですね。計測しにくい目標を立ててしまっていたわけです。

斉藤:だから2回目や3回目でその辺りの粒度を細かくしながら、どうすれば次につながるかを考えて進めるようにはしましたね。

久保:でも、そこをきっかけにコミュニケーションって何だろうという話ができたりして、間違いなく気付きはあったと思います。

あとは、日々の業務上の目標設定とも連動していく内容だと思ったので、弊社がサービスとして持っているOKRの仕組みとの連動を進めました。

斉藤:wevoxのスコアで「承認」が低かったことから、「褒められる場」がないということが見えてきたんですね。じゃあどうやってそういった機会を作り上げるのか、そのための1つの施策として考えたのが、OKRとの連動です。2週間に一度の振り返りを通じて目標を追っていくような取り組みを考え、さらにもう一歩進めて、しっかり取り組めている人を全体会議の中で表彰することも始めました。OKRを追いながら、wevoxのエンゲージメントも上げていく。そういう形で進めていけたら理想的だなと考えて取り組んでいます。

久保:変化がどう出るか、これからのお楽しみですね!

施策の運用で大事なのは「飽きさせない工夫」

ー他にも、現場主導で施策が動き始めていると聞きましたが、どんなものがあるのですか?

久保:業務以外のコミュニケーションを増やそうと考えて、1on3という場を作りました。1がマネージャーで、3が新人など若手社員です。ただ、実際には3人ではない場合も多く、分かりやすく言うと「部長とカジュアルに喋りましょう会」みたいな感じですね。

ワークショップを通じて、お互いの人となりをよく知らない状態でチームがスタートしてしまっていたことに気づいて、もっと業務以外のコミュニケーションを増やそうというのがその背景です。また、業務で部長と直接業務で関わる機会が少なく、ちょっと遠い存在になってしまっていたので、そこの距離を縮めることも目的でした。

斉藤:目標は週1回の実施で、できるだけリモートではなく直接会うことを推奨しています。毎回テーマを事前に決めるんですが、忙しい時期なら「健康管理について」とか、年末年始だと「今年の一文字」「抱負」みたいな話しやすいものにしています。

久保:効果があったのは、対マネージャーだけじゃないですよね。

斉藤:全体で集まったときに、1on3での会話が起点となって交流が広がったりする様子が見え始めているので、お互いの相互理解につながったり、コミュニケーションのハードルはだいぶ下がっていると感じます。

ーそれはマネージャーに対する距離感という意味でもですか?

斉藤:それは間違いなくあります。直属の上司ではない人と垣根を超えて話したりもするので、社内の人間関係は少しずつ活発になっていると感じます。

久保:その流れでお話しすると、部長勉強会という施策も走っています。新人が多いチームだからこそ、そもそもスキルアップも必要じゃないかという議論があって、業務に必要なスキルや知識のアップデートを目的に行っています。これは原則対面式で、直接部長に教わる講義のようなものですね。普段から個人で動いていると、自分のやっていることに対して不安を感じる時ってあるじゃないですか。定期的に上の人からの教育が受けられることで、スキルアップだけではなく、精神的な不安を取り除く効果もあるのかなと感じていますね。

斉藤:あとは、私が学生時代に個人的に好きでやっていた「性格診断」も取り入れたんです。同じくコミュニケーションを目的とした施策で、それぞれの診断結果から共感できるもの・できないものを発表し合って話すというものです。人となりを知るのが目的ではありますが、振り返りがマンネリ化してきたことへの打ち手でもあるんです。

ー飽きさせない工夫、ということですね。

斉藤:その通りです。回を重ねるごとに、振り返りの際にチームの目標が達成できていないとどうしても重い雰囲気が出てきてしまいます。毎月やることは非常に大事な一方で、「効果が出ていないのに毎月同じことをやらされている」と思われることも危惧していて。だったら、アクセントになるようなちょっと違うことをしようと思いました。

久保:私は、wevoxは漢方と同じだと思っていて、要は「いかに習慣にできるか」で効果が変わってくるということです。習慣にしていくというのは結構難しい部分もあって、そこ至るまでにいいスパイスを振っていかないといけない。時にアクセントは必要だと思いますね。まさに「飽きさせない工夫」は、施策を考える上では重要なポイントだと思います。

ーその他、施策を考える上で意識していることがあれば教えてください。

斉藤:基本的には現場の声に寄り添うことです。ワーク自体が楽しくなかったとなってしまうのは最悪なので、まずは楽しんでもらうためにも、現場の声をしっかり聞いて考えるようにしています。

久保:私は10月から別の部署で同じ仕組みの導入を進めているのですが、斉藤さんのところのような新人が多いチームと比べると、求められるものは違うんですね。同じことをただやっても反応は全く違うし、効果も出ません。スコアを分析したり、メンバー層に合わせて優先度を考えていく必要があるんだということを痛感しているところです。

マネージャーをいかに巻き込んで運用するか

ー社内でのwevoxの浸透具合はいかがですか?

斉藤:やっぱりマネージャーが動いてくれたのはすごく大きかったですね。普段からのやりとりを部長に見えるところで進めていることもあって、協力を得られる場面は多いですね。施策にも積極的に取り組んでいただけるので、心強いというか。

久保:マネージャー陣が「wevoxっていいよね」と思ってくれることはすごく大事だと思います。仕組み自体を新たに取り入れるのは、やっぱりハードルが高いですし、仕事も増えるでしょうから正直面倒くさいと思うんです。だからこそ、マネージャーがいかに納得してくれるかを意識して、運用してきたところはありますね。

ー周囲のメンバーからはどんな声が上がっていますか?

斉藤:変化を感じてくれている人は多い一方で、一部からはやることが増えて面倒だという声は、正直挙がっています。でも、それはしょうがないと思っています。

久保:強制はなるべくしたくないですし、最初から100%を目指すのはなかなか難しいよねというのは話していたんです。だからこそ、まずは共感してくれる人たちでしっかり成果を出していこうと。

斉藤:一方で、参加したいけどできないという人も一部いるので、そういう時はワークの中身を工夫して共有できるものにしたり。一体感は壊さないよう意識していますね。

「マネジメントされる力」が組織を円滑にする

ー2人の理想とする組織像とは、どんなものでしょうか?

久保:私は昔から「組織に依存しない生き方」をしたいと考えています。だから、自分がやりたいことを実現するために、パートナーとして組織を選ぶような働き方ができたらいいなと思っているんです。オフィスにいることが前提ではなく、プロジェクトベースとか、ゴールを持ってチーム全体で取り組んでいくようなやり方がもっと広がっていったらいいなと思っていますね。そういう意味では、あんまり限られた人だけでなく、いろんな方々、それこそ外部の企業や、フリーランスの方なども含めて、いろんな人と働いていきたいですね。

ーそういう働き方を進める場合に、集団が一体感を持つために何が必要だと思いますか?

久保:相互理解と共通値、でしょうか。業務を円滑にしていくうえでは、必要な情報がちゃんとシェアできているかが大事です。今の日本の働き方だと、どうしても業務は属人化しがちですよね。あとはwevoxがまさにそうですが、共通値を測れるメジャーのようなものがあれば、そこを軸に考え方を組み替えることができますから、お互いに共有できるスケールを持つことはすごく重要だと思いますね。

斉藤:私は新卒でいきなりテレワークで働く部署に配属となったわけですが、やはり個人が「自立した働き方」を選んでいける流れは、今後より一層強くなっていくのかなと感じています。その時に、必要なコミュニケーションをどう取っていくのかは間違いなく課題で、そのヒントをくれるのがwevoxなのかなと感じています。

コミュニケーションの取り方を考えた時に、マネジメントする側に「マネジメントをする力」が必要なのと同時に、マネジメントされる側も「マネジメントされる力」を持っておかないといけないなと感じているんです。

ー面白い視点ですね。

斉藤:例えば、在宅で働く新人にあり得るのが、発信がないから在宅で何をしているのかが全く見えないという話です。マネジメントされる力があれば、自分の状態を発信できる状態を作れるわけで、マネージャーにとっては仕事がしやすくなりますよね。これは育成についても同じで、自分からわからないことを聞きにいくことができないと、結局周囲の負担が増えてしまう。それが「マネジメントされる力」であって、組織を回し、さらには自立した組織を作っていくうえでは非常に大事なものじゃないかと最近考えています。

久保:「知ってもらう努力」と「知る努力」の両方が必要だという話と同じですよね。要は個人と個人が双方で歩み寄る努力をしないと、そもそもリモートワークのチームワークって成り立たないんです。お互いがその認識を持って働けるかがすごく大事で、その要となるコミュニケーションをどうとっていくかが、組織づくりに置いての課題なのかもしれませんね。

wevoxの全てが丸わかり!

CTA-IMAGE エンゲージメントをスコア化することで離職防止やパフォーマンスの可視化につなげることができるwevox。 wevoxの説明資料やエンゲージメントに関する資料が一括で見ることができます。

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