「対話のプロセス」こそがエンゲージメント向上の鍵ーー組織開発のプロが語るwevox活用法

「対話のプロセス」こそがエンゲージメント向上の鍵ーー組織開発のプロが語るwevox活用法

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「活用事例シリーズ」。今回は研修・組織開発コンサルティング事業を手掛ける株式会社NEWONEにお話を伺いました。働き方改革ゲーム「NEWONE」やwevoxの企業活用を推進する「weONE」など様々なサービスを提供する同社。自社の組織づくりにおいても、wevoxを導入しエンゲージメント向上に励んでいます。導入時のつまずきから得た学び、エンゲージメント向上の鍵を握る「対話のプロセス」など、組織開発のプロたちが語るwevox活用法に迫ります。

「身内だから分かってくれる」という甘えから生まれたつまずき

―今日は、数多くの組織開発コンサルティングを手掛けるNEWONEのwevox活用法についてお聞かせください。

葛西:はい、自分たち自身での活用事例や経験を他社に還元することもNEWONEの重要なミッションです。エンゲージメントを高めるためのポイント、我々の“つまずき”から得た学びなどキレイごとだけでなく、リアルな情報を共有できたらと思います。

―まず、NEWONEとはどういう会社なのか、そしてお二人の役割について教えていただけますか?

葛西:NEWONEは15年に渡って研修事業や組織開発事業を行ってきた、株式会社シェイクのグループ企業として2017年9月に設立されました。シェイクで培った知見を活かしながら、刻々と変化する「働き方」に対応できるよう、様々な研修・組織開発プログラムを提供しています。私は取締役として経営に携わる一方、自らワークショップのファシリテーターを務めるなど現場にも立ち続けています。

クライアントは、ソフトバンクさんや三菱地所ホームさんといった大手企業をはじめ、行政組織やスタートアップなど業種やステータスは様々。「そもそも何が課題なのか分からない」といった状態から始まることも多く、課題の発見をもとに各社に応じたカスタムメイドのプログラム群を提供するのが我々の強みです。

大槻:私は、wevoxをベースにエンゲージメントを向上するプログラム「weONE」を手掛けるチームのマネージャーを務めています。企業がどのようにwevoxを活用すればエンゲージメントを上げられるのか、様々な角度からコンサルティングを行うプログラムです。

―まさに、組織開発のプロ集団でもあるNEWONEですが、さきほどwevoxの活用において“つまずき”を経験したとおっしゃっていましたね。

葛西:そうなんです。実は、導入直後の3カ月ほど、エンゲージメントスコアが下がり続けてしまいました。これはいけない、と様々な対策を取り結果的には4カ月目以降は右肩上がりに回復し、今は高いスコアを維持できています。

―そのつまずきとは何だったのか、教えていただけますか?

葛西:NEWONEはまだ若い会社ですし、社員数も20人程度。それに、wevoxは自らの事業に直結するサービスですので、導入に対してメンバーの拒否感はありませんでした。しかし、こうした環境に甘えてしまったのか、導入メリットやサーベイ後の具体的なアクションの説明を怠ってしまったんです。その結果、メンバーがサーベイの意義を感じにくくなり、スコアも下がってしまいました。

大槻:wevoxのような組織サーベイを導入する企業は、こうした「利用するメンバーがメリットを感じづらい」というつまずきを経験することが多いです。そうした事例を我々も見てきていたのですが、いざ自社で実施するとなると「身内だから分かってくれるだろう」とどこかで甘えが出てしまったのだと思います。

 

経営側からのメッセージの発信と具体的な改善施策の実行

―そうしたつまずきに気付いた以降、スコアはV字回復を描いています。どのような改善策を取ったのでしょうか?

葛西:まずは、経営側から2つのメッセージをメンバーに対して発信しました。

1つ目が「我々は本気でエンゲージメントスコアを上げたいと考えている」ということ。wevoxを活用することで、本気で自社の組織状態を良くしていきたい、という意思表示をしたのです。

2つ目が「エンゲージメントスコアは経営側だけで上げるのではなく、全員がアクションを起こして上げていくものだ」というメッセージです。1つ目のメッセージだけだと、「経営側が何かをしてくれる」という待ちの姿勢を生んでしまいます。そうではなく、組織開発のプロ集団として、一人ひとりが自らの意思で考え、アクションを起こしていく。そうした組織になってほしいという思いを込めました。

このメッセージをより実践しやすいよう、我々はメンバー全員のエンゲージメントスコアをオープンにしています。お互いのスコアを開示することで、組織状態を把握しやすくなり、エンゲージメント向上の取り組みをより自分ごと化しやすくなります。

これら2つのメッセージを全社MTGやグループMTGなど、様々な場面で発信し続けました。

―なるほど。まずは「何のためにやるの?」という疑問を解消し、一人ひとりが自分ごととしてwevoxに向き合うようにメッセージを発信したんですね。しかし、メッセージの発信だけではここまでスコアは伸びないのではないでしょうか?

葛西:おっしゃるとおりです。抽象度の高い改善策としてメッセージを発信しつつ、具体的なアクションも実行しました。大きなアクションとしては2つ、「マトリクス型組織への変更」と「『Unipos』の導入」です。

マトリクス型組織への変更は、スコアの低かった「承認」の改善を目的としたものです。承認スコアが低い原因を分析すると、「我々の仕事は単独で行うものが多く、他者からの承認を得づらいのでは?」という仮説が浮かびあがりました。そこで、マトリクス型組織にすることで、エリア別グループと機能別グループという2つのグループから、仕事の成果や働きぶりに対しての承認を得られるようにしたのです。

社員同士でピアボーナスを送り合えるUniposの導入も、「承認」に関わる施策です。一人ひとりの頑張りを可視化できるようにし、表立った業績はないけど、多くの人をサポートしてくれているメンバーたちにもスポットライトが当たるようにしました。

これら2つの施策を実行したことにより、「wevoxを活用することで、本当に組織は変わっていくんだ」と肌身で感じてもらえた。結果的に、wevoxに回答する納得感も増え、エンゲージメントスコアも改善されていきました。

 

メンバー同士がエンゲージメントについて1on1で話し合う

―課題の把握から、迅速かつ的確に改善策を取っていったことがよく分かります。今話していただいた改善策は経営側のアクションでした。「メンバー全員が努力をしてエンゲージメントスコアを上げていく」というメッセージに対しては、何かアクションがあったのでしょうか?

大槻:はい、メンバー側による取り組みもメッセージの発信以降動き出しています。

まず、私たちのグループではwevoxの「wedo機能」を積極的に活用しようと、メンバー同士がエンゲージメントスコアをベースに1on1をして、改善アイデアを話し合う機会を設けました。マネージャー対メンバーだけでなく、メンバー対メンバーの1on1も行うのが特徴の1つです。

マネージャーが主導して、チームのエンゲージメントを上げるのは当然です。ただ、それだけだと次はマネージャーだけに依存する形になりかねません。自分たちのチームを、全員が主体者となって改善していくためにこの取り組みを始めました。

※wedo機能…wevox上でチームのカイゼンアクションを入力、可視化できる機能

―1on1を通してどのようなアクションが生まれたのでしょうか?

大槻:私たちのチームは「達成感」に関するスコアが低かったんです。1on1を通して原因を探っていくと、「目標設定がうまくできていないのでは」、「お互いの承認行動が足りていないのでは」といった課題が出てきました。

そうした課題をもとに、「目標設定を明確にしてから業務に取り掛かる」「相手を承認する声かけを意識的に増やす」といった具体的なアクションが生まれました。これらのアクションを、wedo機能を使って可視化しています。

結果的に達成感に関するスコアは改善されました。wevoxをきっかけに組織改善について対話をするカルチャーも生まれていますし、今後もこのいいサイクルを続けていきたいですね。

―すばらしいですね。

葛西:全社単位でも、エンゲージメントスコアをベースに組織改善について話し合う場が生まれています。

大槻:「エンゲージメント対話会」ですね。「圧倒的にエンゲージメントが高い会社を目指す」というコンセプトのもと、メンバー主導で開催されています。業務終了後の18時からオフィスで行われていて、自由参加なのですが多くのメンバーが参加して熱い議論を交わしています。

葛西:経営側としては、我々が発信したメッセージにすぐに呼応して動き出してくれたのは嬉しかったですね。エンゲージメント対話会では、「経営側にまかせっきりでいいのか?」「『自分が会社を経営している』という気概をどれだけ持てているのか?」といった様々なテーマで議論が交わされています。

答えを出すことが目的ではないので、その場で具体的な施策が生まれるわけではありません。ただこうした対話が、エンゲージメントにいい影響を与えているのは事実です。

 

「対話のプロセス」こそがエンゲージメントを高める

―経営側からのメッセージとアクション。そして、メッセージを受け取ったメンバー側が自らの意思で対話を重ねていく。wevoxをきっかけに、理想的なサイクルが生まれていますね。他社がこうしたサイクルを生み出すためには、どのようなポイントがあるのでしょうか?

葛西:まず1つが、我々のつまずきからも得られた知見として、組織サーベイの導入タイミングで「WhyとHow」をしっかりと伝えることです。

振り返ってみると、我々は導入時に「wevoxがどういうサービスなのか」という「What」だけを伝えていました。しかし、実際に回答するメンバーからすれば「なぜwevoxを使うのか、その結果どうやって組織が改善されていくのか」が本当に知りたいポイントのはず。WhyとHowまでの導線を予め設計し、導入時点で伝えられるとスタート時点からうまく機能するはずです。

それができていないままサーベイを続けていると、いずれ形骸化してしまいます。最悪の場合「適当に答えておけばいいや」という風潮が生まれ、スコア自体が意味のないものになってしまう。導入後にサーベイがうまく機能していない場合は、もう一度WhyとHowがメンバーに伝わっているか振り返ってみてください。

大槻:それから、やはり「対話」ですね。だた、スコアを計測するだけでは足りません。スコアをもとに、どうすれば組織を改善できるか議論する場を設けることが大切です。

葛西:対話が大切、ということに異論を持つ人はいないでしょう。しかし、ここでみなさんが勘違いしてしまうのが、「対話によって答えを導くこと」を目的にしてしまうことです。

みなさんどうしても特効薬的な施策を求めがちなのですが、それはエンゲージメントを高めるための最重要事項ではない。実は、「どうすればいいんだろう?」とみんなが話し合う「対話のプロセス」こそ、エンゲージメントを高めるホットボタンになるんです。

―なるほど。そうした対話を繰り返す営みこそがエンゲージメントを高めていく、と。

大槻:そうです。加えて、経営側やマネージャーだけでなく、メンバー全員が対話に参加することもポイントになります。

葛西:メンバーを巻き込むためには、やはりマネージャーの役割が重要になってきます。大槻のチームのように、マネージャーが率先してメンバー同士が対話する機会を生み出す。そして、そこで生まれたアクションが形骸化しないように、wedo機能などを使って日常業務に落とし込んでいく。多くの企業で、こうした動きをマネージャーが取れずにボトルネックとなってしまう例を見ています。

wevoxなどの組織改善ツールを、経営側や人事は積極的に活用しようとしている。メンバーも何か変わるのでは、と期待を抱きツールを使う。しかし、その間にいるマネージャーが適切なアクションを取れずに、停滞してしまう…。こうした事例が本当に多いのです。

事実、我々も今マネージャーの意識改革や行動変容を目的としたコンサルティングを行うことが増えています。

 

これからは「いい組織と仕事をしたい人」が増えていく時代に

ー昨今のマネージャーはビジネスの結果だけでなく、組織づくりや働き方改革など求められるものが増えてきています。どのようにマネージャーは変わっていけばいいのでしょうか?

葛西:色々なケースがありますので、一概にこれといったことは言いづらいのですが、ここでもやはり「対話」が重要なキーワードになってきます。

というのも、我々がマネージャー向けの研修の最後によく伝えるのが「今回の研修で生まれた改善アクションを明日、一番身近な社員1人に話してください」ということなんですね。マネージャーが、自分の行動改善について身近な社員と対話する。そうすると、身近なフォロワーが1人、生まれますよね。まずは、そのフォロワーと対話を重ねながらマネージャーとしてどのように振る舞えばいいのか、どういうアクションを起こせばいいのかを考えていく。

これを続けていくと、次第にフォロワーだけでなく、メンバー全員と対話を重ねられるようになります。先ほども言ったように、こうした対話のプロセスが生まれれば、エンゲージメントスコアは自然に上がっていくはずなんです。さらには、より効果的な改善アクションを生み出せるようになり、相乗効果的にどんどんいいサイクルが生まれていきます。

全てのマネージャーに当てはまるわけではありませんが、これまで我々はこうした成功事例を多く生み出してきました。

―いきなりメンバー全員を対象にするのではなく、身近な1人でいいから対話を重ねていく。マネジメントもスモールスタートで良くて、小さいことから始めて、少しずつ範囲を大きくしていけばいいということですね。

葛西:マネジメントと言うと何か大きな取り組みをしなければ、と考えがちですよね。でもそんなことはなくて、自分の周囲2〜3mぐらいの距離の中でどう行動を変えていけるか、が一番大切だったりするんです。

私も今回、wevoxを通じて、身内だからといってWhyやHowの説明をすっ飛ばしてもいい訳ではないと改めて気付きました。まさに、周囲2〜3mの人たちとの対話の重要性、という“原理原則”を身に沁みて感じることができました。

大槻:私もマネージャーとして、経営側のメッセージを受け取りつつも、メンバーたちが自走できるために、どうアクションすればいいかを体験できたいい機会でした。マネージャーである自分が動かないと、いいサイクルは生まれない。逆に自分が動き出せば、メンバーも動いてくれるし、その結果エンゲージメントスコアが改善されていく楽しさも味わえます。

いきなり成功しようとは思わないで、できることから始めていくことが重要ではないでしょうか。

葛西:これからは、組織やチームがもっと注目される世の中になっていきます。働き方が柔軟になり、選択肢が広がると、いい組織と仕事したいと考える人がどんどん増えていく。だからこそ、今後5年10年というスパンで組織づくりに注力していく必要があります。そのために、我々は今後も企業の支援を通して、いい組織、チームをどんどん生み出していきたい。

最終的には我々がいなくても、企業自らが自走していい組織であり続けることが理想です。そのためにwevoxのようなツールは非常に有用ですし、今後も自分たち自身の経験を通じて、様々なノウハウやサービスを提供できるように邁進していきたいと思います。

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