経営陣がマネージャーの伴走者に〜D2C R流エンゲージメント向上3つの打ち手

経営陣がマネージャーの伴走者に〜D2C R流エンゲージメント向上3つの打ち手

 

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「活用事例シリーズ」。今回お話を伺ったのは、スマートフォン広告事業で成長を続ける株式会社D2C R人事部の佐藤千晶さんです。2017年11月からwevoxを導入した同社では、「経営陣、人事、マネージャーの3者MTG」、「取締役によるマネージャーのフォロー」、「マネージャー同士の共有会」という3つの打ち手を通じて、エンゲージメントの向上に積極的に取り組んでいます。経営陣がマネージャーのフォローに回り、“最適なマネジメントを考え、実践する”カルチャーが根付くD2C R。同社の組織づくりの知見から、wevoxを活用した組織力向上のヒントをひもときます。

 月に一度、経営陣、人事、マネージャーで“マネジメント”を徹底的に考える

ー本日は、経営陣も積極的に組織づくりに参加するD2C Rが、どのようにエンゲージメント向上に取り組んでいるか伺いたいと思います。

はい。弊社では、大小様々な人事施策を行っていますが、エンゲージメント向上の取り組みは大きく以下の3つに分けられます。

①毎月1回、経営陣、人事、各チームマネージャーの3者で、wevoxのエンゲージメントスコアをベースに話し合う「3者MTG」

②チーム状態に応じた、取締役によるマネージャーのフォロー

③マネージャーだけで集まり、エンゲージメントスコアについて話し合う「マネージャー共有会」

今日はこの3つの取り組みについて、お話しします。

ーまず、①の3者MTGからお聞かせください。

これは毎月1回、wevoxで計測したエンゲージメントスコアを見ながら、チーム状況やマネジメントアクションについて話し合いをするMTGです。各チームマネージャー1人ずつと、社長、取締役2人の経営陣、人事として私が1人、計5人で行っています。

ーどのような会話をするのでしょうか?

まずは、マネージャーからスコアの推移や前月に行ったアクションについて振り返りを行ってもらいます。そして、その月に改善したいと考えているスコア、どのように改善しようとしているか話してもらい、経営陣、私と一緒に方向性を話し合います。

ー例えば、どのような振り返りがマネージャーからされるのでしょうか?

そうですね、一例として会話を挙げてみましょう。

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マネージャー「今月は人間関係のスコアが伸びて、初めて80を超えました。ランチ会が効果的だったようなので、続けていきたいと思います。しかし、達成感ややりがいといったスコアが少し下がっているのが気になります」

人事「他に、承認も少し下がっていますね」

マネージャー「確かにそうですね」

社長「今月は、そこを重点的に意識して改善してみようか。どうすればいいと思いますか?」

マネージャー「そうですね…あえて私がいないチーム会を運営してみてはどうかと考えているんです。いい関係性は築けているとは思うのですが、逆に私がいないと意思決定が進まないということも多々あって」

人事「それは、いいですね。メンバーだけで進めるプロジェクトがあればやりがいや達成感も感じやすいかもしれません」

社長「うん。その会の中でもリーダーをアサインしてみて、後進のマネージャーの育成もできるとベストかもしれないね。いいと思うよ」

マネージャー「そうですね。さっそく準備したいと思います」

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あくまで一例ですが、このような会話をしながら、スコアの改善策、アクションの方向性を話し合っています。

ーなるほど、スコアを見ながら、かなり具体的にどのようなアクションを起こすのか話すんですね。

基本的には、マネージャーが主体となってスコアの分析やアクションについて話をしてもらいます。そうすることで、マネージャーのチームづくりへの意識、マネジメントスキルを高めるためです。スコアを分析する際に、自分1人では見落とす箇所もあるので、そこは私や経営陣が気になった点を伝えるときもあります。

ーこの3者MTGは何がきっかけで始まったのでしょうか?

wevoxを導入し始めたとき、私と代表取締役社長の岡勇基で「任せっきりにするんじゃなくて、我々もマネージャーと話しながら進めたほうがいいよね」といった会話をしたことがきっかけで始まりました。役職が上がれば上がるほど、相談できる相手は少なくなります。wevoxを導入して「あとはよろしく」だとマネージャーたちも不安になるだろうし、せっかくのツールも無駄になってしまうかもしれませんから。

ー社長自らの考案なんですね。

もともと岡は組織づくりを重視して経営を行っています。広告代理業は提案力や企画力、人間力といった「人の力」がとても重要です。そうした考えを持っているので、岡は半年に1回全社員との1on1を行っていますしマネージャーとも積極的にランチに行っているんです。

3者が揃うことで、多角的な分析が可能になる

ーなるほど。経営陣自らがそうしたコミュニケーションを通じて、社員の状態、チームの状態を把握しているんですね。

そうです。人事の私も3カ月に一度全社員との1on1を続けていますし、マネージャーは1~2週間に一度、メンバーとの1on1をしています。1on1はこの会社の組織運営において重要な要素になっていますし、3者MTGとも連動しています。

ー1on1を通して、経営陣、人事、マネージャーがそれぞれメンバーやチームの状況を把握。さらに、エンゲージメントスコアを見ながら、月に1度マネジメントの方向性を話し合う。かなり徹底して取り組んでいるのがよく分かります。

3者が揃うことで、多角的な視点で話ができるのは大きなメリットだと思います。人事だから分かる、経営陣だから分かる、メンバーのパーソナリティーやチーム状態もあるはずですから。そうした情報を共有しながら、マネージャーが自ら考え、エンゲージメントスコアと向き合う場があることが重要だと思っています。

ーなかなか上手く改善アクションが出せないマネージャーもいるかと思います。どのように対応していますか?

そうですね、D2C Rでは比較的若いマネージャーも多いので、必ずしも的確なアクションを考えられる訳ではありません。その場合、人事や経営陣が他のチームでの事例を教えたり、一緒にマネジメントの方向性を考えたりしていきます。その際大事なのは、できるだけ具体的な解決先は提示しないこと。答えをこちらから与えるのではなく、いろいろなアイデアや考え方、視点を共有する、というスタンスを取るのです。そうでないとただ答えを聞く場になってしまいますから。

ー特に注意して見ているスコアはありますか?

人間関係と承認、支援、この3つは最重要項目としています。これらが下がってきているときは、コミュニケーション不全が起きている可能性が高い。この3つが低いと他も低くなる傾向があるので、特に注意しています。

 

経営陣がマネージャーの伴走者に

ーありがとうございます。では、次に②の取締役のマネージャーへのフォローについて。これは、3者MTGとは別で何か行っているということでしょうか?

そうです。3者MTGを通してもチーム状態が改善されない場合もあります。そうしたときは、取締役自らがチーム会に出てマネージャーと一緒に課題の解決に当たっているのです。メディア、アドテクノロジー部門の取締役、営業部門の取締役がそれぞれに所属するチームの対応を行っています。

ー取締役が自ら率先してフォローに回るんですね。

先ほども言いましたが、マネージャーは相談できる人が少なくて、孤独になりがちですから、経営陣がサポートに入ることで、心理的安全性を確保しています。それに、メンバーからしても経営陣がしっかり見てくれているんだ、という承認にも繋がって、意欲が醸成される効果もあります。

ーどのようなフォローを行うのでしょうか?

何かしら意思決定で滞っていたら、取締役が入って決定をしたり、リソースの課題があれば状況を把握して他部署との連携を行ったり、様々です。ただ、フォローというよりは寄り添って一緒に走ってみる、という表現が近いかもしれません。取締役自ら「とりあえずやってみて、上手くいかなかったらまた考えよう」とマネージャーによく伝えています。マネージャーが孤独にならないように、伴走するイメージです。

ーなるほど。でも、どのタイミングでチーム会に取締役が出席するのか、見極めも大事じゃないですか? そんなに頻繁に出られるわけではないでしょうし…。

そこは、社長の岡が判断することもあり、岡が3者MTGや1on1を通じて、サポートが必要だと感じたら取締役にお願いをするのです。私からもマネージャーが不安を感じていそうだったり、ちょっとして表情から雲行きが怪しいな、と感じたりしたら、すぐに岡に伝えるようにしています。

ーマネージャーへの手厚いサポートがすごいですね…。

結果的にそれがメンバーへのサポートにもなって、全社的なエンゲージメントの向上にも繋がりますからね。

ー社長と人事の間で個々のチームのマネジメントについて密度の濃い会話が行われているのも、素晴らしいと感じました。

特にwevoxを導入してから、2人の間で“マネージャー”を話題にした会話が増えたように感じます。「あのマネージャー、最近頑張っているよね」とか「悩んでるみたいだから、彼のサポートに入った方がよさそうだね」とか。そういう会話が起きるきっかけになるのも、組織状態を可視化できるwevoxのメリットの1つではないでしょうか。

それから、私や岡が漠然と懸念に感じていたことが数値として反映されることも多く、課題の把握、マネージャーとの共有がスピード感を持ってできるのもすごく助かっています。それまでは、定性的でニュアンスに近い形で懸念点を共有していたのが、数値化されることで分かりやすくなりますからね。

 

マネージャー同士で教え合う、価値ある共有会

ーありがとうございます。では、最後に③マネージャーだけで集まる共有会について教えてください。

3カ月に一度、マネージャーだけが集まってそれぞれのチームのエンゲージメントスコアを見ながらどのようなマネジメントを行ったのか、あるいは課題感などについて共有し合う場です。マネージャーたちから自主的に、「他のチームのスコアを参考にしたい、何をやっているか知りたいという」声が上がってきたので、スタートしました。

ーその場では、全てオープンに?

そうです。嫌がる人もいるかな…と思ったのですが大丈夫でした。それよりも、みんな他のチーム状態やマネジメントの事例を参考にしたいという気持ちの方が強かったです。特にアジェンダはなくて、プロジェクターで管理画面を表示して、マネージャーが勝手に話し出すような、フランクな会です。「僕のチームは3カ月かけて、課題に対してこういう仮説立てて、アクションを実行した。その結果スコアが改善されたよ」といったことを、誰ともなく話し始めるんです。

ー皆さん、共有したいことがたくさんあるんでしょうね。

「どうしても達成感のスコアが上がらない…」という課題感の共有をきっかけに、みんなで解決策を話し合うこともあります。「うち、達成感のスコア高いんだけど、こういうことやってるからかも…」と知見をその場で共有し合うのです。

それから、他のチームのスコアが下がっていることに対して、「うちから依頼した仕事が大変だったからかも。あのときはすごく助かりました」というような会話が起きることもあって、部署間の連携強化にも効果を発揮しています。

ーそれは、とても大事なディスカッションですね。横の繋がりが強化されるでしょうし、マネージャーにとっても心理的安全性にも繋がる。

この共有会を通じて、マネジメントスキルの高いマネージャーから学ぶ人は多いですね。3者MTGでも「この前の共有会で聞いたアクションを実行しようと思います」という発言もよく聞きます。

 

wevoxのPDCAを経営戦略に結びつける

ー①、②、③、3つの打ち手が全てが上手く噛み合わさって機能しているんですね。ちなみに、佐藤さんから見ていて、エンゲージメントスコアの高いマネージャーさんに共通するものって何かありますか?

そうですね…あくまで個人的な見解ですが、「人に興味がある」マネージャーのチームはエンゲージメントスコアが高い傾向にありますね。アクションも的確な案を出すことが多いです。

あとは、「言うべきことははっきりと言う」マネージャーもスコアは高い傾向にあります。

ー時には厳しいことも、はっきりと伝えられる人。

はい。それは、ちゃんとメンバーに興味を持って見ているからできることなのでしょうけど、的確なフィードバックができる人は信頼も高いですし、メンバーの成長を促すのも上手いですね。時にはメンバーが嫌がることでも、ストレートに伝えられるというのも、マネージャーにとっては重要に感じます。

ーwevoxを運用してきて、成長を感じるマネージャーはいますか?

いますね。そのマネージャーは強いリーダーシップを発揮するタイプではなくて、どちらかというと淡々としているタイプなんです。最初はアクション案も淡白で、こちらがアドバイスをすることも多かった。それが、3者MTGなどを通じて、エンゲージメントスコアと向き合ううちに、どんどん積極的なアクションを提案するようになっていきました。もちろん性格は変わらず、淡々としているんですけど「最近は、朝会で必ず誰か1人を褒めるようにしています」とか、多分wevoxがなかったらやっていなかったであろうアクションを実行しているんです。本人もチーム力を高めたり、メンバーを育てる楽しさに気づいたのではないでしょうか。

ー素晴らしいですね。佐藤さんご自身が人事として気をつけていることは何かありますか?

マネージャーに対してできるだけ多くのアクションのインプットができるように、普段からセミナーに行ったり、いろいろな人と話したりして、情報収集は心掛けています。でも、まだまだ足りてないな、と思うことも多いです。1年以上続けていく中で、引き出しが減ってきているように感じるので、そこは課題でもありますね。

ー最後に、今後の展望をお聞かせください。

エンゲージメントを高めるサイクルは少しずつですけど、できているように思います。次はこうした取り組みをよりダイレクトに、経営戦略に繋げられるようにしたいと考えています。マネージャーの成長、チーム力の向上を会社の成長に結びつける。wevoxを活用して回しているPDCAによって、経営課題の一歩先の施策が打てるようになるように、頑張っていきたいと思います。

ー今日は、経営陣、人事、マネージャー、それぞれが真摯にマネジメントに向き合うD2C Rの取り組みを伺えてとても勉強になりました。wevoxを導入している多くの企業にとっても、とても参考になるはずです。貴重なお話をありがとうございました!

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