「GMOペパボはなぜwevoxを使い続ける?」テレワーク適応に直結した2年半目の運用刷新

「GMOペパボはなぜwevoxを使い続ける?」テレワーク適応に直結した2年半目の運用刷新

実践的な組織づくり戦略や組織改善プラットフォーム「wevox」の活用方法を紹介する「活用事例シリーズ」。今回は、1月27日という早いタイミングでテレワークへの切り替えを発表し話題となったGMOインターネットグループのGMOペパボ株式会社の取り組みをご紹介します。2017年6月からwevoxを導入し積極的に活用している同社では、振り返りをもとに2020年2月に運用方法を刷新しました。時をほぼ同じくしてテレワークに切り替わる中、刷新した運用方法がテレワーク下におけるwevox運用、そして組織づくりにふさわしいものになったと言います。GMOペパボがなぜwevoxを使うのか、そしてテレワーク下におけるHRの役割とは? HRマネージャーの船橋 恵さんがじっくりと語ってくれました。

INTERVIEWEE

GMOペパボ株式会社 HRマネージャー 船橋恵さん
2009年GMOペパボ入社。役員秘書、サービスディレクターを経て、2013年より人事部門に従事。2014年育休中に社会保険労務士資格を取得。採用や研修、評価制度等の制度設計、運用などの業務を担当し、現在はHR統括グループのマネージャーとして組織力向上をミッションとした業務に注力。

―GMOペパボには2017年6月からwevoxを活用していただいています。2020年2月から運用を刷新したということで、今日はwevox活用法やHRグループの取り組みについて伺いたいと思います。

お願いします。私はHRグループの中でも、特にwevoxの運用に中心的に関わっています。これまでの運用における反省点や、今年に入ってからの改善ポイントなど、みなさまの参考になればうれしいです。

―よろしくお願いします。また、GMOインターネットグループでは1月27日という早いタイミングで、テレワークに切り替え話題になりました。テレワークが4カ月目に突入する中で、テレワーク下におけるHRの役割など、組織づくりに力を入れる貴社の考え方もぜひ聞きたいと思います。

そうですね、注目度の大きさは感じています。GMOペパボが全社でテレワークを実施することで、組織づくりにどのような変化が起きるのか、日々考えていることもお話しできればと思います。

―まずは、今回運用を見直すことになったきっかけについて教えていただけますか? 

導入当初は回答率も高く、エンゲージメントスコアをベースによりよいマネジメントに活かす取り組みがうまく機能していました。しかし、2年以上運用を続けていく中で、wevoxが徐々に「ご意見箱化」する大きな課題が発生していたんです。

原因はいくつかあると思うのですが、フリーコメントを取得する際の質問の文言を「より良い組織にするために、気づいた点や意見があればお書きください」としていたことが、パートナー(社員の呼称)にとって、とりあえずHRに意見をすればどうにかしてくれるかもしれない、という期待を生むことになってしまっていたのではないか、と私たちは仮説を立てました。

パートナーからの意見や問題提起は大切ですが、導入から時間が経つにつれ、本来の目的である一人ひとりが組織をより良くする意識を高めていくという認識よりも、「wevoxはHRに何かをしてもらうためのツール」という認識を持たれてしまったように感じていました。

その結果、部署や取り組みへの意見や困っていることの相談といったコメントが増えていましたし、回答率も低下してしまいました。

―意見や相談とはどのような種類のコメントですか?

フィードバックに際して他部署との調整が必要な意見や「こういう問題があるからHRに間に入ってほしい」といった、すでに起きている問題への対処を求める相談コメントです。もちろん、そうした問題への対処は重要ですが、「これってwevoxを使ってすることだっけ?」と疑問も同時に感じていました。

そうしたコメントへの対処がHRのwevox運用の中心業務になってしまっており、運用方法としてはよくないな…と。そこで、HR内で改めて「なぜ、GMOペパボではwevoxを使うのか。どのように使っていけばいいか」というテーマで振り返りを行ったんです。

―どのような話をしたのですか?

議論するうえで大切にしたのは、「GMOペパボらしいwevoxの活用方法」を考えることでした。サーベイツールを使う理由や活用方法は、企業ごとでさまざまだと思いますが、「我々が普段から大切にしているカルチャーや行動指針にふさわしい活用方法は何か」といった視点で振り返りを行うことを意識したのです。

その際に重視したのが、GMOペパボが「わたしたちが大切にしている3つのこと」にある

  1. アウトプットすること
  2. ファンを増やすこと
  3. みんなと仲良くすること

というカルチャーです。

この中でも、特に「アウトプット」に着目しました。「自分自身が主体的に、マネージャーや周囲にやりたいことや困りごとを発信、つまりアウトプットする。そのためにwevoxのエンゲージメントスコアを活用してほしい」という発想です。そのベースには「みんなと仲良くする」カルチャーがあるし、結果的に「ファンが増える」組織になっていく。これこそが、GMOペパボらしいwevoxの活用方法だし、そうなるように運用方法を変えようと話がまとまり、2月から順次変更していったのです。

ーなるほど。具体的にはどのように変えたのですか?

まず、エンゲージメントスコアの開示範囲を変えました。これまで、経営層、マネージャー、全社共有と3つのカテゴリーで開示する範囲を分けていたのですが、全社共有の公開範囲を広げたのです。具体的には、これまで回答率と全社スコア、フリーコメント(無記名)だけだったものを、部門別スコアに範囲を広げ、さらにフリーコメントを記名式でオープンにするようにしました。これは、先程話したように「wevoxはHRやマネージャーのためではなく、みんなが自分たちで使うもの」というメッセージを伝えるための変更です。

加えて、フリーコメントの質問の文言を変えました。これまでのように「なんでもHRに相談してください」といったような内容ではなく、ポジティブな意見やアイデア、取り組み内容の共有をしてもらえるような質問にしたのです。

具体的には、下図のように変更しました。

―毎月質問の文言を変えているんですね。

はい、そうです。その時々に合わせた質問をすることで、回答率の向上も図っています。結果的には、今はコメント内容の雰囲気がガラッと変わって、ポジティブな内容が増えてきました。4月の質問では失敗談を書いてもらうように呼びかけたのですが、笑いに走るコメントもありましたし、コメントがきっかけとなってSlackで会話が広がるケースもいくつか出てきました。

―いいアウトプットが生まれていますね。

回答率も改善傾向にありますし、今のところ運用刷新はいい方向に向かっています。それに、記名式にしたことでコメント内容の調整にHRのリソースが割かれることもなくなり、その分スコアの分析や全社にフィードバックする内容を充実させることができるようになったので、オープン化の効果は高いと感じています。

―オープン化を受け入れるカルチャーがGMOペパボにはあったことも大きいのではないでしょうか?

確かに、エンジニアを中心に、情報をオープンにすることに肯定的な文化が醸成されており、全社的にもその認識が広がっていたのは大きいですね。ただ、一度オープンにした情報をもう一度クローズにする際にはみんなが納得できる理由の開示が必要になるので、どこまで、どういう形で情報を公開するかは慎重に決めました。

―1月27日からは、全社テレワークにシフトしました。混乱はありませんでしたか?

GMOペパボでは3年ほど前から、新しい働き方に備えるために、働き方改革は積極的に推進していました。育児やご家族の介護が必要なパートナーへの在宅勤務制度は整備していましたし、勤怠システムもオンラインで完結するなど準備はできていたので、大きな混乱はなくシフトできました。

―2月からの運用刷新と全社テレワーク化はタイミングが一致しています。コロナ禍を想定した刷新ではなかったかと思いますが、この偶然の一致についてどう受け止めていますか?

wevoxの運用刷新はテレワーク下においてこそ真価を発揮すると考えています。HRもマネージャーも距離が離れることで、これまでのようにパートナーの状況を把握することが難しくなります。オンラインでのコミュニケーション頻度を高めるなどできることはありますが、大事になってくるのはパートナー一人ひとりが自身の状態を把握し、自ら発信していくことです。

そうしたアウトプットがテレワーク下においては重要度が増してきますので、偶然とはいえ、今回のwevoxの運用刷新の意味、ひいてはGMOペパボとしての組織づくりの方向性が、全社テレワーク化によってより鮮明になったと感じています。

―HRとしての役割はどう変わっていくのでしょうか?

テレワークが続くことによって「情報格差」と「能力格差」がこれまでよりも広がっていくと予想しています。その中で強い方だけが伸びる仕組みにしてしまうと、GMOペパボらしさが失われていくのではないか、と今は危惧しています。組織にとって強さはとても大事ですが、それだけを追い求めると、GMOペパボのカルチャーがなくなり、ここで働く理由もなくなってしまうかもしれない。

一般的にHRは多くの情報を預かっている部署ですし、全社的な制度運用も担っているので、強さを求めたり、統制や管理を厳しくすることもできてしまうかもしれません。ですが、それはGMOペパボのHRがすることではありません。私たちは、みんなが自分自身の個性と強みを活かして、よりよい事業を社会に供給していくスタンスを曲げてはいけない。テレワークでも、みんながそれぞれの良さを活かせる仕組みづくりや制度を整えていく必要があると決意を新たにしています。

例えば、評価制度を考えてみると、おそらく今後は多くの企業が成果主義の方向に向かっていくでしょう。でも、クリエイターが主体のGMOペパボには、成果主義は合わないと考えています。もちろんビジネスですので、一定以上のレイヤーにおいては数字にコミットすることは不可欠です。ただ、個々のパートナーの目線で考えると、クリエイティブな仕事は成果に偏重するよりもプロセスの精度を上げていくことで個人も組織も磨かれていき、結果的に持続的な成果に繋がっていくのではないかと考えています。また、「ファンを増やす」ことを大切にしている企業が数字だけで評価を決めるのもカルチャーに合わない。だから、これもたまたまなのですが、1月に従来の等級制度や目標の達成度合いではなく、「プロセス」を重視する評価制度に変えたんです。

―準備ができていたからこそ、すでに先を見据えた考えを持っているし、動き出してもいる。今後、組織がさらに成長していく姿が想像できます。

wevoxの回答率はまだ上げる余地があるので、引き続き改善を続けていきたいです。今は、回答期間中に自動で各部署の回答率が通知されるbotを作れないか、試行錯誤しています。そうすれば、回答率が低い部署は「やらなきゃ」と回答してくれるはずです。今は人力で通知しているので、自動化できるといいかな、と。

そして、wevoxを活用して個々のパートナーがもっと自らの状態を「アウトプット」できる環境を整えていくこと。これからも積極的にメッセージを発信して、浸透を図っていきたいと考えています。まずはこの2つを軸に、より組織が成長できるように励んでいきます。

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